老後破産のリスクを調べてみる

生き方、キャリア

日本では、高齢者が「老後も働き続ける」という前提で生活を設計していたものの、働けなくなることや収入が不安定になることが原因で、経済的に追い詰められるケースが増えているようだ。

例えば、自己破産や住宅ローンの破綻に至る高齢者が多く見られる背景には、天災や経営不振などの予期せぬ要因による収入の減少も含まれる。この記事では、高齢者が老後破産に陥る原因のポイントをまとめてみた。

老後破産に陥るリスク要因

定年退職後、収入が大幅に減少するにもかかわらず、現役時代と同じ生活水準を維持しようとすると、貯蓄が尽きるリスクが高まり、生活の維持ができなくなってしまう。
退職後にパートなどで働いても所得は大幅に減少する。

住宅ローンや賃貸などランニングコストの高い生活を維持するのは大変だ。賃貸なら家賃の安い物件に引っ越せば済むかもしれないが、住宅ローンが支払えないような場合は、金銭面は当然のこと、精神的にも大きな負担になるだろう。

例えば、「2023年度フラット35利用者調査」によると、年齢別の利用割合は30歳代が30.4%で最も多く、次いで40歳代の27.6%が続き、30・40歳代の合計で全体の6割超を占めている。
仮に40歳で3,700万円の一軒家(土地を除く)をフラット35で建てた場合、75歳まで毎月約11万円の支払いになる。結婚している場合は、夫婦で折半し月5万円の支払いになるわけだ。

生活スタイルの変化リスク

住宅ローンが残った状態で離婚して別居する場合、家を出た側は賃貸契約をしながら住宅ローンの支払いも負担する可能性がある。

まぁ、日本の離婚率は世界と比較しても低めなので、”可能性はゼロではない”程度に考えればよいと思う。なぜか「3組に1組が離婚している」とか「離婚する人が増えている」と騒ぐ方もいますが、実態は横ばいか減少傾向にあるので、確率よりも自分事を考えて不安に対処すればよい。離婚による生活スタイルの変化を計画に入れるのは悪いことではないだろう。

所得減少によるリスク

メディアの特集での一例ではローンを組んでマンションを購入したが、役職定年で所得が半分になった事で月々のローンの支払いが滞り、破産に至るケースも存在する。勤め先によって状況は千差万別で役職なども含めかなりの個人差はあるが、現実的に自分の所得が半分になる可能性も考慮すべきだと思う。

最悪、船井電機のように突然解雇されて退職金ももらえない…
みたいな可能性もゼロではない。現に現実で起きているわけだから、馬鹿な経営層による経済犯罪に巻き込まれる事もあり得るのだ。

まぁ、さすがに船井電機のケースは稀すぎて、ここまで最悪のケースを言い出したらきりがない。ゼロリスク信仰は暇な方々に任せて私たちは現実を直視して計画を立てよう。

現実的には、次第に体が悪くなって働けなくなり、年金だけでは生活費が足りず、貯蓄を切り崩していくケースのほうが可能性は高い。老夫婦の場合、片方が働けなくなるだけで一気に生活が様変わりする。その時に、住宅ローンの支払いが残っていたり、高い家賃を支払っている場合はランニングコストの見直しが非常に重要になってくるだろう。

介護によるリスク

介護をすることになると、仕事以外のほとんどの時間を使うことになり、次第に身体的にも働けなくなるかもしれない。まぁ、私の場合は片親なのと兄弟が地元にいるので介護による負担はかなり分担できるし、実家は住宅ローンを払い終わっており、ランニングコストはそこまで上がらない。無論時間的なコストはあるが、今の会社はほぼ定時退社だし、完全週休二日で時間の余裕はあるので、今の会社に勤めてる間であれば介護の負担には対応できると考えている。

ただ、読者が親の場合は「子供が介護してくれる」とか「子供も一緒に住んでくれる」なんて期待はしない方が賢明だろう。そんなものは親のエゴでしかなく、現実的には子供には子どもの人生があるので面倒見る余裕すらない可能性は普通にあり得るのだ。

住宅ローン破産の急増

定年退職後も住宅ローンの支払いが続くことは大きなリスクだ。晩婚化やマイホーム購入の遅れにより、ローンの完済が老後まで続いてしまうケースは増加傾向にある。前述したように、収入が減少する中で、ローン返済は大きな負担となり、不測の事態の際に大きな足枷になってしまう。

特に定年による所得減少はきちんと考慮してローンを組むべきだと考える。とある番組のドキュメンタリーでは、出世したのはいいものの役職定年制度で収入が大幅に減り、ローンの支払いができなくなったケースも紹介されていた。
ローンを組む際には定年後の所得減少や身体的な問題も考える必要性がある。自営業者でも今儲かっているからと言って、その所得が永遠と継続する保証はどこにもない。

またインタビューで「定年後の支払いも賃貸と同じくらいだから契約した。」と答えている方がいたが、「賃貸契約」と「住宅ローン」は全く別物なのは言うまでもない。営業マンの都合の良い話に乗せられて、冷静さを欠いてはいけない。未来を悲観しすぎるのも良くないが、楽観視しすぎるとコロナ過のような未曽有の事態に足元をすくわれてしまう。

予期せぬ支出の増加

あなたが一定の年齢に達しているなら、高齢になるにつれ、医療費や介護費が予想以上に増加する可能性も考慮したほうがいい。他には、子供や孫への経済的支援が、思わぬ出費を引き起こすこともある。

例えば、子供が何かしら不幸に見舞われたときに、お金で解決するなら助けてあげたいと考えるのが親だと思う。離婚や離職によって親元に帰ってきた結果、生活コストが増えて貯蓄の減少もあり得る。
「すぐに働いて出ていってくれるだろう」というのは親の願望でしかなく。現実には親子トラブルが増えたり、精神的な不調が原因で子どもが引きこもったりするケースも存在する。

8050問題が他人事だと思わない方が賢明だ。
全国ひきこもり家族会連合会の『KHJ全国実態調査報告書』によると、2010年には40歳以上の割合が10%程度だったが、2021年には30%を超えた。また、内閣府の平成30年度調査の結果によると、全国の満40歳~満64歳までの人口の1.45%に当たる61.3万人がひきこもり状態にあると推計されている。
更に子供の引きこもりも増加傾向にある。年30日以上登校せず、「不登校」とされた小中学生が、2023年度は過去最多の34万6482人に上ったことが 文部科学省 の調査でわかった。 前年度より4万7434人多く、30万人超は初めて。 また、増加は11年連続で、特に20年度以降に約15万人増えた。

「自分の子供は大丈夫」と言うのは親の希望的観測の域を出ない。家族関係が良好であることも老後の負担やリスクを低減する上で重要だと考える。
離婚と同じように可能性の低い最悪のケースだが、お金と同じくらい家族関係の健全化は重要なのだ。なぜなら、同居しているなら、子供であれ親であれあなたの家計と直結する。家族関係が不健全な状態では、精神的負荷も大きいだろう。

天災や経営不振などによる収入減少

地震や台風などの天災や、勤務先の経営不振によるリストラや減給など、予期せぬ要因で収入が突然減少することも考慮すべきである。
分かりやすいのが、「東日本大震災」や「新型コロナウイルス」だ。

住宅ローンなどの大きい固定費がある場合、不測の事態の際に大きな足枷になる可能性がある。この点は、賃貸契約と大きく異なり大きな負担となる。賃貸であれば引っ越すことで固定費を下げることは容易だが、住宅ローンではそう簡単にいかない。

災害で住宅に損害が出て住めなくなった場合でも住宅ローンの返済義務は続く。損害の度合いによっては、住宅ローンに加えて家の修繕費用なども掛かってくる。そのため、経済的負担が非常に大きくなることが予想されるだろう。「自然災害時債務免除特約」を付加することで、ローンの支払いが免除されることもあるが、賃貸と比較して負担の差は明確だと思う。

新型コロナウイルスで飲食店や航空、観光関連が大打撃を受けて大規模リストラが行われたりしたことはご存知でしょう。これらのリスクが私とは無関係だと考えるのは合理的ではない。寧ろ、このような不測の事態は起こるものだと考えて、備えることが重要だと思う。
さすがに、船井電機のようにバカのせいで悲惨な事態に見舞われるのは、勘弁してほしい。

年金制度の不十分さ

国民年金と厚生年金の給付額の差や、年金だけでは生活が成り立たないと感じる高齢者が増えているそうだ。

しかし、そもそもの話、年金制度には人口比という根本的な問題があり、政治を変えればすぐに変わるのかというと、現実的にそうでもないと私は思う。人口が増え続ける時代であれば成立した年金制度も今の人口比では成り立たないというのは、火を見るよりも明らかだ。

今後誰が政権を取ろうが、人口比という根本的問題が解決しない限り、年金に対する不安は払拭されない。年金制度の改革や再設計は今後も行われるはず。

例えば、年金の支給開始年齢が70歳以上に引き上げられる可能性や年金を支えるため、現役世代の保険料がさらに引き上げられる可能性がだって十分ある。その都度、SNSで政権に文句を垂れて承認欲求を満たしても何も解決しない。「年金に頼りすぎる生活設計には大きなリスクがある」という前提でキャリア形成し老後に備えることが現実的で合理的な選択肢だと思う。

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